VIA EPIA-C800

メーカー : VIA
価格 : オープンプライス
URL : http://www.viavpsd.com/

概要。
今回取り上げるマザーボードの最大の特徴としては、CPU(VIA C3)が標準で付属し、しかもそのC3はソケット経由ではなくマザーボードに直付けされている点が挙げられます。
VIA C3にはファンレス稼動を前提にしたEDENシリーズなど、動作電圧やパッケージングの違い によりいくつかのバリエーションが存在しますが、今回のマザーに搭載されているC3は低発熱 ながらファンを必要とするC3-Eシリーズに属するようです。よってEzraベースの1次キャッシュ128KB、2次キャッシュ64KBを搭載したCPUとなります。
  Mini-ITX(17cm角)というVIAが独自に提唱している規格に対応し、とにかくコンパクトなこのマザー、 リアパネルには主要な機能のほとんどが展開されています。

まず最初に、VGA機能はチップセット(PLE133)に統合された機能を用いますので、TridentのCyberBlade相当でビデオメモリはメインと共有で最大8MBとなります。
残念ながらデュアルディスプレイには対応していないため、S端子ビデオ出力接続時にはD-SUB15ピン側 からBIOS画面を含め何も信号が出ません(S端子側でBIOS画面から表示)。また、S端子横に位置するRCAコネクタは 標準で「デジタル(同軸)出力」になっている点も注意が必要です。
続いてオーディオ、LANもチップセット統合のものを用います。VIAのサウスとPHYチップによるLAN機能は 個人的に初体験でしたが、特に不具合にはぶつかりませんでした。
  標準のCPUクーラーはさながらチップセットクーラーで、サイズが小さい分高速で回って(BIOSに よると約6000rpm)いて、騒音が若干気になります。

ただ、CPUすぐ側にあるFSB設定用のジャンパを変更することで、動作クロックを3段階に変更することが可能(ただしマニュアルの表記が逆になっている ことに注意)ですので、用途に応じて低クロック化しファンを止めることも可能かと思います。
ここで断言できないのは、CPU周り(VCOREから温度に至るまで)のモニタリングがまったく行えない ことによります(BIOSでも汎用ツールでも不可)。実際にFSB 66MHz(400AMHz)でファン停止テストをしてみたところ、 高負荷時でもヒートシンクは熱くなりませんでしたので、大丈夫だとは思うのですが…。
  メモリ周りは完全にCPUと非同期になっていて、マニュアルにも記載されていない「HCLK-66M」設定 まで存在します。

しかしその設定時(PC66)には、画面にごみが出る場合があることや、FSBが66MHzの際にもその設定が表示され、(設定しても)無視されることなどから、基本的にAUTO(SPD)設定のままにしておくのが無難 だと思います。
PCIスロットは1本のみで、INT線はLANと共有しています。1本でもあるのとないのとでは大きな違いがあり、 ここに取り付けるカードによって様々な用途が考えられます(後述)。

導入編。
今回のマザーにはFDDコネクタがありませんので、FDブートをしたい場合にはUSB接続なFDDを使用する必要 があります。今回はVAIO純正ドライブ(Y-E Data製)でテストしてみましたが、MiracleLinux(RH7.1)を 除き、問題なくブート可能でした。
基本的にPLE133マザーですので、ドライバのインストール等は特に変わったことはありません。ただ、 RH7.2においてFDブート&インストーラのX起動で画面が表示されなくなったり、インストール後のX設定 でXGA設定以上を選択した場合にも同様の症状が発生したりと、LANまで自動認識されるほどUNIX系でも 動作するものの、まだまだ完成度は高くない印象が残りました。
なお、Windows用ドライバについては付属CD同梱のものよりも新しいバージョンが公式サイトで公開済み で、以下のテスト等はそちらを使用して実施しています。

性能検証編。
いつものようにベンチマークを実行してみたところ、SUPER π 104万桁が「15分29秒」、3DMark 2000が 「560」という、ある意味凄いスコアが得られたため、路線を変更することにしました。
テスト内容 : FSBの変更により動作クロックを変更し、どのクロックまでDVDが再生可能か検証する。
テスト環境 : EPIA-800 / 512MB SDRAM / 30GB HDD / GD-8000 (DVD) / PowerDVD XP / W2KSP2
テスト結果 : 1. 66x6 = 400AMHz
→ 激しくコマ落ち。
2. 100x6 = 600AMHz
→ まだまだコマ落ち。
3. 133x6 = 800AMHz
→ コマ落ちはほぼなくなるもCPU負荷は常に100%のままで、ウィンドウのリサイズや移動等を行うとコマ落ちする。
以上の結果から、最初のシリーズがファンレスの533とファン付の800で登場した理由がなんとなく 理解できます。ただここで一般的なアプリケーション(Office 2000など)の場合では、AthlonXPに 比べて確かに起動時間から違うものの、決して「遅い」と感じるほどではありませんでした。
なお、RH7.2Jの動作は目に見えてゆったりでした(異常なまでに高いロードアベレージにも兆候あり)。

用途選定編。
1. DVD再生機として → 保留。
S端子出力の画質が今ひとつ(視認性は普通レベルですが、色のくすみがある)ことや、SPD出力がPCMのみで スルー出力することが出来ないことなどから、結構微妙な位置にあります。
2. ルーターとして → 有力候補。
LANカードを取り付けとWindows 2000の場合は1時間弱の設定作業だけで、スループットもかなり優秀なルーターが出来上がります。
3. ファイルサーバーとして → 決定。
S端子出力でテレビ等でもモニタリング可能なことに加え、騒音も低めでかつPCIバスにRAIDカードを 取り付ければRAID01/5も可能です。さらにファイルサーバはCPU性能もほとんど必要ありません。
以上より、今回はファイルサーバーとして組み上げてみることにしました。なお、今回は低価格で組む ことも重要なため、RAIDカードはPromiseのTX2000を使用することにしました。

ファイルサーバー構築編。
構築編といっても、OSをインストールしてHDDをネットワーク共有するだけですので作業はいたって簡単です。ただ今回はNAS(ネットワークに 接続された記憶デバイス)もどきの動作をするように2つほどソフトを導入しましたので、それらをご紹介します。
  マシンをリモートから操作可能にする「WinVNC」です。インストールして簡単な設定をするだけで、 リモートからIEや専用クライアントを通じてデスクトップをそのまま操作できるようになります。

このソフトを導入しておくことで、ファイルサーバー機にCD-Rを繋いで定期的なバックアップ作業を行うことも可能になります。 このソフトの素晴らしい点は個人使用が「フリー」であることです。
ただ、このソフト効果は絶大ですが、ブロードバンドで外部に直に接続されているマシンにインストールする際は当然かなり慎重に作業する必要があります。
  RAIDをリモートから監視可能にするユーティリティ、「PAM」です。Promise製のハイエンドRAIDカード用としては以前から利用されていましたが、TX2000からFastTrakでも使用可能になりました。

3WAREカード用のRAID監視ツール、「3DM」のようなIE経由の監視機能や多プラットホーム対応性はありませんが、RAID-1/5を 組んだマシンを稼動させる上で、リモートで監視可能かどうか(エラーに即対応できるかどうか)は非常 に重要なポイントだと思います。

お似合いパーツ編。
ここまではファイルサーバーとして構築してきたわけですが、唯一のPCIバスを埋めるカードとして、実は 最適に思えるカードがあります。
  PCの性能がまだまだ低かったころ、ハードウェアでDVD再生を支援し、高画質なビデオ出力を可能にする 「HollywoodPlus」というカードがあった(現在でも一応販売中ですが)ことをご存知の方は多いと思います。

このカードはその後継としてリリース予定で、前モデルの機能に加えD出力機能とMPEG4の再生支援機能により、CPU性能と ビデオ出力の画質をフォローするだけでなく、リモコンにまで対応します。
今回のマザーに不足している部分をほとんど全て埋めるという点で、これに勝るものはないように感じます。ちなみに$99で月リリース予定とのことです。

まとめ。
現時点で(ファンレスと噂される)専用電源や、(非常にコンパクトであることが予想される)専用ケースが 未登場のため、その全ての価値をはかることは出来ませんが、そのコンパクトさと(1つの)PCIバスに取り付ける カードの組み合わせによる様々な用途への対応性は、かなり高いものがあると感じました。
今回のパーツのような「性能だけに依存しない」製品が続々と登場してくることを期待しつつ、今回のレビューはこれにて終了です。


Posted by dospara_review at 12:38Comments(0)TrackBack(0)マザーボード │2002年04月24日
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