Making Fast & Quiet PC - Intel P4 Ver. -

メーカー : Intel
価格 : オープンプライス
URL : http://www.intel.co.jp/

暖かくなってきました。
もはや例年通りな暖冬も終わり、暖かい日々が続いています。適度に冷えていた方が都合がいいPCパーツに とって、これから秋の終わりまでは試練の時期になります。もっとも、(私のように)帯電体質な人にとって はようやく静電気から解放されるということでほっと出来る時期でもあります。
そんなある日、自宅マシン(*1)のBIOS更新ついでにハードウェアモニタを眺めてみると、
>> CPU Temperature : 55 ℃
という表示。起動後わずか数十分、BIOSを更新しただけのほとんど無負荷な状態でこの温度は高すぎです。取り付けて いるPCIカードの関係で以前ご紹介した「Coolon」も使えない状況で、取りうる解決策を考えてみたのですが…、
CPUクーラーのファンを静音ファンから交換する。
考察 :
実は以前レビューで取り上げた際よりさらに静音(1450rpm)なタイプに交換しているので、それを元のファン (1900rpm)に交換すればそこそこ下がるかもしれない。
結論 :少しでもうるさくなる時点で却下。
ケースに吸気ファンを取り付ける。
考察 :
ケース内の空調を整えて、冷却効率を上げれば大丈夫かもしれない。
結論 :少しでも(以下略)。
無駄なHDDを減らす。
考察 :
ケース内の発熱体を減らせば温度上昇がゆるやかになるかもしれない。
結論 :即実践。マザー(システム)温度が1-2℃低下するもCPU温度は変わらず。
と、かなり手詰まり感が漂います。どうしようか?と考えていたちょうどその時、アルファのP4用CPUクーラーが リリースされました。よって今回は、Intel環境で静音かつ高速な環境を作ってみようと思います。 目指すは当然「立ち上げたまま、(疲れてなくても)睡眠可能なマシン」で、テレビの近くに置いても違和感が無ければなお可とします。
*1 スペック : Athlon XP 1600+ / EP-8KHA+ / PAL8045U(NIDEC 1450rpm) / ATA IV 80GB / RADEON 7500 / SEASONIC 350W / CaseFan(SANYO 1450rpm) / etc...

どうしてIntel、かつPentium 4なのか。
Intel環境を選択した理由は次の通りです。
ACPIによるCPUクーリング機能がかなり有効に働くこと。
98SE以降(ACPI有効)であれば、OS標準状態(追加ソフト無し)でも問題なく機能します。
チップセットにファンが搭載していないマザーが数多く存在すること。
ファンは直径が小さければ小さいほどうるさく感じます。また、購入の際は出来るだけ選択肢が多いほうが楽しいです。
続いてPentium 4(以下P4)を選んだ理由は次の通りです。
アイドル(無負荷)中のCPU温度はPentium III系よりも低いこと。
スペック的にはPentium III / Celeron(Tualatin)の倍近い消費電力のP4の方が温度が低くなるのは、コアの大きさ(ヒートスプレッダとの接触面の広さ)の違いなどを含め、 設計の違いによるものと思われます。
ALPHAのPAL8942が利用可能なこと。
Socket370用CPUクーラーより遙かに効率的に、かつ静かに冷却することが出来ます。
無論デメリット?がないわけではありません。
Athlon環境と比較するとコストパフォーマンスがかなり劣ること。
現状ではP4-1.6AGHzとAthlon XP1800+がほぼ同じ価格になっていますが、体感はともかく重いアプリケーション(SSE2有効な MPEGエンコードですらも)を実行すると明らかにXP1800+の方が高速です。加えてマザーもP4用の方が比較的高価です。
以上のことを念頭に置きつつ、パーツの選定作業に移ります。

パーツの選定。
  ◇ CPU : Pentium 4 1.6AGHz + PAL8942

低消費電力化を実現した、NorthWoodコア採用タイプの最低クロックモデルです。SFF(小型PC向け)やノートPC用を除けば、 これ以下の消費電力なP4は今後おそらくリリースされないという点で、2GHz以上から開始されるFSB533MHz版の登場後も、一定の価値を持ち続けると考えられます。
今回は静音性も重視ということで、CPUクーラーはリテールではなく例のALPHA製のものを使用します。

  ◇ MB : D845BGL(i845D)

RIMM(RDRAM)モジュールの発熱がもの凄いことや、コストパフォーマンス的にはDDRが最も優れていることなどを考慮すると、本命はi845 B-Step(以下i845D)搭載マザーになります。

数あるマザーの中でこのモデルを選んだ理由は次の通りです。
サポートページがしっかりしていること。
日本語ページも大分整備されてきていて、マザー各社の中でもトップクラスの充実度です。加えてBIOS更新の際 詳細な修正リストを公開している点も好感が持てます(何が変わったかわからないままより遙かに安心です)。
LAN付きでその分ケース内をすっきりさせられること。
ブロードバンドネットワークの普及により、LANは事実上必須な機能となってきています。LAN無しモデルとの価格差を考えるとコスト面ではそこまで有利ではない ものの、ケース内がすっきりします(かつPCIバスが空く)ので、十分メリットがあります。
ファンレスであること。
オーバークロックを行わないのであれば、チップセットはファンレスで十分なはずです。
安定志向であること。
オーバークロックなどの機能がまったく存在していません。
ES(技術サンプル)レベルでかなり安定していたこと。
販売開始の1ヶ月以上前に到着したESマザーを検証した際、ES品とは思えないほど普通に動作したことを覚えています。
セールの対象になっていること(3月まで)。
CPUクーラーの買い換え(追加コスト)を検討している関係上、2000円引は大きいです。

  ◇ HDD : SEAGATE Barracuda ATA IV ST340016A (40GB)

HDDは体感性能に直結しますので、5400rpmモデルよりも7200rpmモデルをお薦めします。今回選択したATA IVはRandomアクセスに弱く、 現行の7200rpmモデルの中で決して速い方ではないですが、「何もしていない時の騒音が最も小さい」という、静音を目指す上では見逃せないメリットがあります。
ハードディスクは台数が増えれば増えただけ、より大きな騒音源となります。もし40GBでは足りないことが予想されるようでしたら、後で40GBを足すのではなく、最初から80GBモデルを購入されることを推奨します。

  ◇ VGA : G550/MX400 etc...

ビデオカードは選択が非常に難しいです。ファンレスにこだわるのであれば上記のカードがあるものの、3D性能はどうしても今ひとつになってしまいます。チップファンによる騒音もやむなし、という場合はGeForce4 Ti4400/4600に特攻するのも楽しそうですが…。
テレビにビデオ出力することを前提にする場合には、G550かRADEON 7500/8500系をお勧めします。それらのS出力はDVDなどの動画再生レベルであれば十分実用レベルだと思います。

  ◇ CASE : Noblesse

ファンの力に頼れない静音マシンの場合、ケース内が出来るだけゆったりしたものを選ぶ必要があります。今回はテレビの横(リビング)に置くことも考慮して、フロントベイにカバーがある(埃と騒音対策)このケースを選んでみました。

このケースを初めて見たのは昨年のCOMPUTEX TAIPEIで、稚拙な英語でメーカーの方と必死に会話した記憶が…。

実践とまとめ。
今回は性能の向上を目指した乗り換えではありませんでしたので、ベンチマークは省略します(体感は変わらないものの、スコア的には結構低下しました)。また、ファン類は以前のものを流用しましたので、音量的にも変わりません。ここで肝心のCPU温度ですが、先の55℃とほぼ同じ状況において「38℃」と実に10℃以上低下しました。この温度であれば余裕で夏は越せそうです。
以上より、今回の「速くて静かな」マシンを作るという目標は無事達成することが出来ました。上記構成のマシンはおそらく、メーカー製の静音モデルに勝るとも劣らない静音性、加えてより一層の高速性を持っていると思います。
なお、Athlon環境はその後どうなったかというと、私にとって「操作する時間がもっとも長い環境」で今も元気に 働いています。予定外の高性能化でしたが、記事の作成作業もはかどって助かっています。


Posted by dospara_review at 17:05Comments(0)TrackBack(0)その他 │2002年03月22日
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