ALPHA PAL8942M82

メーカー : アルファ
価格 : オープンプライス
URL : http://www.micforg.co.jp/

概要。
今回取り上げるCPUクーラーは、P4環境の静音化に大きく貢献することが期待される待望の商品です。 以前取り上げたPAL8045を改造したものと異なり、新たにP4用に設計された別モデルとなっていて、 ヒートシンクのサイズも若干変更されています(80x80x45.5 -> 78.5x90x42)。
     
静音モデルのファンは15mm厚のものが採用され、全体でも約6cmと小型PCにもなんとか使用可能な高さに収まって いますが、ヒートシンクの幅がリテールよりも縦横共に長いので、取り付けられないマザーがあるかもしれません。
肝心の冷却性能については、公表されている熱抵抗値から計算すると(*1)「Pentium 4 2.2GHz」レベル は余裕でサポート出来そうです。
*1 熱抵抗値の計算方法。
同じCPUクロックでも動作電圧等が異なることがある現状では、「…GHzまでサポート」といった表記 はあまり当てになりません。その点で熱抵抗値を公開しているのは高く評価出来ますが、一方でユー ザーが自分で使用予定のCPUが対応可能かどうかを計算する必要があります。例えば、
>> Pentium 4 2.2GHz (TDP : 55.1W / Tcase : 69℃) / ケース内温度 : 30℃
の場合、(69-30) / 55.1 = 0.70 deg C/W以下の熱抵抗値を持つクーラーが必要になります。もっとも、 この数値はグリスその他の熱抵抗値やより高いケース内温度などを考慮していませんので、実際には あと-0.2〜-0.3 deg C/Wほど低い抵抗値が必要かと思います。
そしてそれでも、PAL8942M82の熱抵抗値(0.35 deg C/W)は、その要求を十分満たしていたりします。

ファンの騒音について。
薄型でも十分な風量を維持するためか、標準添付のファンにはフィンが多めに(11枚)ついています。その影響からか、回転数は非常に低めですが若干甲高い音が聞こえます。よってさらなる静音性 を求められる場合には、ファンレスモデルと25mm厚の静音ファンの組み合わせをお勧めします。
ただ、添付ファンでもリテールクーラーと比べると音量はかなり小さめです。今後リテールファンは さらに高回転化するらしいので(現時点でも0.16Aと0.18Aの2つを確認)、その差は広がることこそあれ、縮まることは無いと思います。

小型マシンでテスト、の予定が…。
普通の状態で使用したのでは今ひとつ面白くないのですし、今回せっかく高性能なCPUクーラーがあるので 小型PC(H340D+MX4BS)に取り付けてテストしてみることにした…、のですがここで問題発生。いざヒートシンクを取り付けようとした時、マザー(MX4BS)上のパ ーツとヒートシンクが接触してうまく取り付けられませんでした。よって急遽、一般的なATXマザーでテストすることにしました。
     
マニュアルには「スタンドオフの底まで」と書かれていますが、バネが強力なためPAL8045と比べてネジ止めは結構手間がかかります。 PAL8942の利点の1つとして、一番左の写真のリテールクーラーを取り付けた際のような、「マザーの反りを防止する」ということも挙げられます。

温度測定。
小型PC用にP4でも低クロックのものを用意してしまいましたので盛り上がりに…。
テスト環境 : 室温 23-24℃ / ケースに入れずに測定
Pentium 4 1.6AGHz (Northwood) / P4SDA+(i845D) / 256MB DDR-SDRAM
リテール = 12V / 0.16A / 2800RPM
PAL8942M82 = 12V / 0.09A / 2000RPM(P4SBA+ BIOSモニタ不可)
・その1 : マシン起動後、BIOSで温度モニター開始から30分後まで。
BIOS設定画面表示中はCPUクーリング機能が無効になり、結構正確な性能検証を行うことが出来ます。
 
どちらも冷却性能にはまったく問題がありませんが、PAL8942は静音モデルでも性能がリテールよりも上と素晴らしい結果を示しています。
・その2 : SUPER π 3355万桁、計算開始後30分経過時のCPU温度。
MBProbe」で計測しました。

PAL8942M82 RETAIL
CPU温度 38.5 ℃ 41.5 ℃
負荷をかけてみても、温度こそ違えど3度ほどPAL8942の方が低い傾向は変わりませんでした。

まとめ。
以上の結果より、今回のCPUクーラーがリテールよりも優秀なことは間違いありません。しかも、静音性においてもかなりの差があります。確かにP4はそのほとんどがリテール出荷なため、CPUクーラーの買い換えはコストの増加を生みますが、その大きな効果を考慮すれば十分その価値があると思います。
Athlon用PAL8045と今回のP4用PAL8942、それらは決して安価ではありませんが、レビュー担当一押しのCPUクーラーです。


Posted by dospara_review at 17:16Comments(0)TrackBack(0)その他 │2002年03月14日
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