Intel Pentium III-S 1.4GHz Short Impression

メーカー : Intel
価格 : オープンプライス
URL : http://www.intel.co.jp/

概要
今回は最後のPentium IIIになりそうなCPUを取り上げます。その動作クロックは1.4GHz(FSB133MHz)、確かにPIII系最高クロックではあるものの、Athlon XPやP4を前にするとそこまで高いクロックではありません。
  従来の最高クロック、1.26GHzとの違いは動作クロックのみとなっていて、動作電圧等にはまったく変更ありません。ここでやはり注目なのは、その「1.45V」という低い動作電圧です。

データシートによると消費電力は31.2W、これはP4-1.5GHzの57.9W、AtlonXP 1600+(1.4GHz)の62.8Wと比較すると圧倒的なまでの低さです。
  CPU自体は低消費電力ですが、1U用クーラーを使用した際は少しびっくりするほどヒートシンクごとじんわりと熱くなっていました(BIOS表示で4-50℃)。

標準のCPUクーラーはその点を考慮しているのか結構大きめで、回転数も多く騒音レベルはやや高めです。
ただ他の(もっと静かな)CPUクーラーを使用した際でも全然熱くなりませんでしたので、ヒートシンクに余裕があれば十分静音化がねらえそうです(P4やAthlonと比較すると圧倒的に低いです)。というより、今回テストした1U用クーラーの設計がまだまだ甘かっただけなのかもしれません。
モデル名についている「-S」は元々サーバー用という意味付けだそうです。特徴としては「512KBの2次キャッシュ(PIIIは256KB)」と「デュアル(SMP)対応」の2つが挙げられます。
* 1U : 高さが約4.4cm(1.75インチ)の薄い筐体のサーバーマシンです。「(サーバー)ラック」という棚のようなものに納めて使用します。実際の外見は法人部のページをご覧ください。

性能チェック。
今回のCPUは内部倍率が10.5倍に達しています。しかしCeleronが1.3GHzで13倍に達していることにより、最大倍率自体はサポートされている場合が多いです。問題は「-S」の部分です。1.26GHzが動作するマザーであれば基本的には動作すると思いますが…。
今回の検証では次のマザーにおける動作を確認しています。
SUPERMICRO P3TDLE / GIGABYTE GA-6VTXE / GIGABYTE GA-6OXET
上記以外のマザーで動作を確認された方がいらっしゃいましたら、ぜひフォームよりご一報ください。
テスト環境 :
Pentium III-S 1.4GHz / 256MB(SD/PC133) / GA-6OXET (F9) / IDE Ver.6.2
Pentium 4 1.6GHz (Willamette) / 256MB(DDR/PC2100) / P4SDA+ / IAA Ver.2.0
Duron 1.3GHz (Morgan) / 256MB(DDR/PC2100) / K7T266Pro2-RU / 4-in-1 Ver.4.37a
GeForce 3 (Ver.23.11) / 2000SP2
比較対象はP4(Willamette)です。実売価格はPIII-S 1.4GHzの半値以下ですが、動作クロックは200MHz高く、DDRを使用している(i845B)ためメモリ周りの性能も高いです。
2002.03.04 : 現在テスト中の環境から、Duron 1.3GHzのデータを追加してみました。
■ Superπ - 104万桁
PIII-S 1.4GHz P4 1.6GHz Duron 1.3GHz
1分52秒 1分59秒 1分34秒
メモリ周りの性能差と200MHzの動作クロックを跳ね返して7秒上回っています。512KBの2次キャッシュも有効に働いている、としてもこの結果は色んな意味で結構問題なような…。
■ 午後べんち Ver.2.39
 
ほぼ同等ですが、音響解析ありでは結構な差があります。
■ TMPGEnc Ver.2.02 - AVI(VGA/30sec/1GB) to MPEG2(DVD Profile)
PIII-S 1.4GHz P4 1.6GHz Duron 1.3GHz
2分29秒 2分30秒 2分27秒
こちらもほぼ同等です。この結果を見ると、MPEGエンコード専用機を作る際には消費電力から言ってもこちらの方がいいかもしれないと思えてきます。
■ 3DMark 2000 v1.1/2001
 
SSE2に対応していない2000ではかなりの差が開いている一方で、(SSE2対応の)2001ではほぼ同等レベルに収まっています。

まとめ
以上のベンチマーク結果より、今回のCPUはクロック対性能比ではかなりいい位置にいる(P4-1.6GHz+DDRと同等かそれ以上の性能)ものの、コストパフォーマンス的には微妙な存在であることがわかります。
それではこのCPUの価値は?というと、ずばり「低消費電力」ということになります。何しろデュアルで動作させてもP4やAthlon XPのシングル動作レベルに収まってしまいます。このため筐体内の空調をきちんと管理すれば、1U/2Uでデュアル構成を組むことが非現実的ではなくなります。ものすごい発熱で周りのマシンに悪影響を及ぼしたり、ファンによる振動でラックを揺らしたりすることもありません。
以上より、今回のCPUは用途によっては非常に貴重な存在であるものの、その「-S」という名の示す通り、あまり個人向けではないように思います。ただ「1.26GHz」モデルは最近値段が大きく下がったこともあり、静音用やコンパクト用にとして個人で使っても十分楽しめそう(元が取れそう)です。
なお、デュアル動作時の性能検証については、ある程度データを揃える段階までは進んでいたのですが、テスト環境に不備があったため今回は公開を見送ることにしました。申し訳ありません。


Posted by dospara_review at 17:25Comments(0)TrackBack(0)CPU │2002年02月28日
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