GIGABYTE GA-8IRX

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▼ 概要。

今回のマザーに搭載されているi845のB-Steppingは、i845の登場後も敢えてSDRAMに走らずに我慢していた方にとってはまさに待望の、そしてIntel初のDDR-SDRAM対応チップセットです。Steppingアップということもありi845 B-Step(以下i845D)の基本的なスペックはi845に準拠していて、大きく異なるのはサポート可能なメモリのバンク数が6から4に減少していることくらいです。

この変更点の少なさがマザーの新鮮味に欠けるものを感じさせるのも確かですが、Intelチップセット搭載マザーに対する一番の要望、すなわち「安定性(枯れ感)」を初物の時点から持つことにも繋がっています。

ちなみにテストしたマザーのリビジョンは「2.0」、出荷時のBIOSは「F3」でした。


▼ マザー概観。

マザー自体はSDRAM版とほとんど違いがありません。

 

マニュアルは日本語も含めた多言語対応版で、DDR-SDRAM対応に伴い変更されたメモリの制限についても非常に詳しく記載されています。

最近ではマニュアルがPDFのみで製本されていないマザーもありますが、組み立て時の参照性を考慮すると断然製本化されていた方が便利です。

感心したのがその内容の新しさです。AGPスロットの説明も今回のマザーが初と思われる新留め具(後述)に対応していました。


 

そのAGPスロットです。

AGPは取り付けるカードの重さ(長さ)に対してスロットが短いため、衝撃等でゆるみやすい傾向があります。そこで今まではスロットカバーと一体化した留め具でビデオカードが抜けないようにするのが一般的でした。

ここで今回のマザーは写真のような新ギミックの採用により、さらなる取り付け、取り外しの際の容易さと固定の確実性を実現しています。

とりあえず初めて見る仕組みなので非常に印象深かったです。

他にはGIGABYTEマザーでは定番の「Dual-BIOS」や、Creative製CT5880によるハードウェアサウンド機能を持っています。


なお、どこまで書いていいのか非常に微妙なところなのですが、i845Dはチップセット的にはFSB133に対応しているそうです(i845、i850は非サポート)。よって間もなく(?)登場する新CPUはもちろんのこと、「もし」FSB133のCPUがリリースされてもBIOSの更新だけで対応出来る可能性があるとかないとか…。また今後RDRAMは完全にハイエンドモデル用に特化され、i81x後継チップセットはDDR-SDRAMになるとかならないとか…。


[コラム] : DDR-SDRAMの種類。

今や(現行の)対応チップセットの数では圧倒的なシェアを誇るDDR-SDRAMは、通常PC2100やPC2400といった分け方をされるのが一般的です。しかしIntelはPC2100をDDR266、PC1100%をDDR200とすることを提唱しているそうです。RDRAMがPC800、PC100%であることを考えると、Intel的に必然かもと思えたりします。

そして現在主流となっているそのDDR266(=PC2100)ですが、実はDDR266、DDR266A、DDR266Bの3種類があります。違いはレイテンシーで、DDR266=2/2/2、DDR266A=2/3/3、DDR266B=2.5/3/3です。

ちなみにIntelはその中でもDDR266を推奨していて、それがi845DとDDR-SDRAMに相性があるという噂の発信源の1つになったと個人的には見ています。ただ実際テストした限りでは、DDR333(=PC2700)モジュールが一部のESマザーではじかれた事を除けば、相性問題は発生していません。


▼ ベンチマークテスト。

i845D搭載マザーのご購入を検討されている方にとって一番気になるのは、やはりi845やi850との優劣関係だと思います。そこで今回は、同じくGIGABYTEのi845(SDRAM)搭載マザー「GA-8IDXH」、i850(RDRAM)搭載マザー「GA-8ITXE」を用意して、様々なベンチマークを用い徹底比較してみました。

テスト環境 :

CPU Pentium4 1.5GHz (Socket 478/400MHz)
マザーボード GA-8IRX GA-8IDXH GA-8ITXE
チップセット i845D i845 i850
メモリ DDR-SDRAM(DDR266)
256MB
SDRAM(PC133/CL3)
256MB
RDRAM(PC800)
256MB(128MBx2)
VGA Cardex GeForce 3
(Detonator XP Ver.23.11/XGA 32bit/75Hz)
HDD Maxtor 53073U6
(7200rpm/2MB Cache/FAT32)
OS Windows 2000
(ServicePack 2/DirectX 8.1/Inf 3.20.1008/IDE 6.20)

なお、今回テストに使用したマザーは下記のように微妙に動作クロックが異なっていました。

GA-8IRX (DDR) GA-8IDXH (SD) GA-8ITXE (RD)
1514.91MHz(100.99MHz) 1500.25MHz(100.02MHz) 1506.66MHz(100.44MHz)

● メモリ関連ベンチマーク。

まずは唯一にして最大の違いであるメモリ周りのパフォーマンスに注目します。

■ SiSoft Sandra 2001te - Memory Benchmark

 

やはりRDRAMがかなり優勢です。相対的にはDDRはSDの1.5倍、そしてRDはDDRのさらに1.5倍といった感じです。

■ HDBench v3.30 - Memory

 

一方このテストではDDR-SDRAMがRDRAMにかなり肉薄しています。

■ loadbench v0.1/v0.3 - Latency / Bandwidth : 8MB

GA-8IRX (DDR) GA-8IDXH (SD) GA-8ITXE (RD)
285.3 clock (188.3ns) 325.5 clock (217.0ns) 287.8 clock (191.0ns)

メモリアクセスのレイテンシで見ると、DDRはRDに僅かながら勝っているようです。

 

SSE128bitに限りRDRAMが圧倒的な帯域を示していますが、他ではDDRはRDに肉薄してます。


● アプリケーションベンチマーク。

続いてマルチメディア系を中心にしたアプリケーションを用いたベンチマークを行いました。

■ Superπ - 104万桁

GA-8IRX (DDR) GA-8IDXH (SD) GA-8ITXE (RD)
2分04秒 2分17秒 1分59秒

RDRAMだけがぎりぎり2分を切っています。

■ 午後べんち Ver.2.39

 

このテストはCPUの微妙なクロックにも左右されますので明確な優劣をつけることは出来ないのですが、DDRとRDがほぼ同じ結果になることは間違いありません。

■ TMPGEnc Ver.2.00 - AVI(30sec) to MPEG2(DVD Profile)

GA-8IRX (DDR) GA-8IDXH (SD) GA-8ITXE (RD)
2分38秒 2分44秒 2分38秒

このテストではDDR-SDRAMとRDRAMがまったく同じ結果になりました。

■ Windows Media Encoder V7.1 - AVI(30sec) to WMV7(NTSC 2Mbps)

GA-8IRX (DDR) GA-8IDXH (SD) GA-8ITXE (RD)
1分01秒 1分02秒 1分01秒

このテストでは3者ともほとんど同じ結果になりました。


● 3D関連ベンチマーク。

最後にメモリ性能に影響されやすい3D関連のベンチマークです。

■ 3DMark 2000 v1.1/2001, SLBench v0.50a (Average FPS)

 

微妙にRDRAMが勝っています。しかしこの差がゲームや3Dアプリケーション上で体感出来るような違いを生むことはまず無いと思われます。

■ QuakeIII Arena - timedemo 1/demo demo001 - VGA/XGA(FPS)

 

この結果は正直意外でした。8ITXEの結果が以前取得したものと比較しても低すぎるのですが、何度取り直しても上図のような結果でした。

以上のベンチマーク結果を総評すると、RDRAMとDDR-SDRAMの間にはベンチマークレベルの差がわずかに存在するのみ、ということになると思います。


▼ まとめ。

RDRAMとDDR-SDRAMの価格差が以前ほどではなくなったことが、DDR-SDRAMの価値、ひいてはi845Dの価値をあやふやなものにしているのは確かです。しかし、DDR-SDRAMには仮にAMD(Athlon)環境に移行したとしても流用可能な、「汎用性」という名のある意味何より大きそうなメリットがあります。

また、上記のように様々なベンチマークでi850(RDRAM)に迫る結果を示していることや、今後はIntel環境においてもDDR-SDRAMがメインになりそうなこと等も考慮すると、i845Dを搭載したマザーは色々な意味で将来を見越したマザーであると言えるのではないでしょうか?



Posted by dospara_review at 18:31Comments(0)TrackBack(0)マザーボード │2002年12月20日
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