Fujitsu MPG3409AT

関連URL : MPG3xxxAT

▼流体軸受?

MPG3409ATは、富士通社製の3.5インチIDE-HDDで、20GBプラッタ採用の40GBモデルです。5400回転ドライブながらキャッシュは2MB搭載しています。もちろんUlTRaDMA100対応です。

見た目は、上の写真のように独特の丸みを帯びたフォルムで、パッと見、前方後円墳を連想させます。

MPG3xxxATシリーズのうち、今回テストに使用した40GBモデル(MPG3409AT)は流体軸受(FDB)モータが採用されているようです。流体軸受モータは、従来の金属製ボールベアリングを採用したものに比べて、静音性、耐衝撃性、耐久性に優れているそうです。

実際に動作させてみると、アクセス時であってもほぼ無音に近く、むしろ電源やCPUファンの方がうるさく感じるレベルでした。

 

流体軸受採用モデルかどうかの判別には諸説あるようで、一般にはモデルナンバーの最後に「-EF」と付けばほぼ確実に流体軸受採用モデル、というのが通説です。

ただし、バルク品の中には「-EF」と付いていても流体軸受無しのものがあったという話もあります。

今回はMPG3409ATと同じ20GBプラッタ採用の5400回転ドライブの中から、512KBのキャッシュを搭載したSeagate社製のST330621A(U5)を用いてパフォーマンスの違いなどを比較してみたいと思います。


▼ベンチマーク結果

Windows 98SE(FAT32)環境でベンチマークを実行してみます。

テスト環境 : P3 1.13GHz / 512MB SDRAM / GA-6OXET / GeForce3


■表1) HD Tach version 2.61


Read speed Random
Access Time
Read Burst Speed CPU utilization
maximum minimum avarage
MPG3409AT 31.1MB/s 16.2MB/s 25.1MB/s 15.6ms 72.4MB/s 3.9%
ST330621A 31.9MB/s 19.7MB/s 27.0MB/s 18.4ms 68.4MB/s 4.5%
図1) シーケンシャルリード グラフ比較(別ウィンドウに表示)

まず、ドライブの基本的な性能を見るために、HDTachを実行してみました。

5400回転のドライブながら、Read speedにおいて最高値で30MB/sを超え、平均値でも25MB/s程度をマークするなど、どちらもまずまずの性能を持っていることがわかります。

また、双方ともRead Burst Speedの数値が66MB/sを超えています。そのため、ATA66環境ではフルに性能を発揮できない事も予想されます。


■表2-1) HDBench v3.30 - DISK (1000MB)


Read Write FileCopy
MPG3409AT 29641 18953 11677
ST330621A 30848 30036 36794

Readの結果はそれほどでもありませんが、WriteとFileCopyで圧倒的とも言える差がついてしまっています。ここで、試しに「Intel UlTRaATA Storage Driver」を導入してみたところ、以下のような結果が出ました。

■表2-2) HDBench v3.30 - DISK (1000MB) 「Intel UlTRaATA Storage Driver適用後」


Read Write FileCopy
MPG3409AT 29537 28811 11816
ST330621A 30836 29973 36355

ドライバ適用によってMPG3409ATのWriteおよびFileCopyの数値が向上しました。FileCopyで極端に差がついていますが、もともとSeagate社製ドライブはFileCopyで良い数値が出る傾向があるようです。


■表3-1) SiSoft Sandra 2001te - Drive BenchMark


Buffered Read Sequential Read Random Read Buffered Write Sequential Write Random Write Average Access
MPG3409AT
Drive Index : 18861
71MB/s 29MB/s 5MB/s 18MB/s 19MB/s 8MB/s 10ms
ST330621A
Drive Index : 20741
67MB/s 30MB/s 6MB/s 54MB/s 30MB/s 5MB/s 9ms

Sandraでのテストでも、Write性能にかなりの差がついています。

Intel UlTRaATA Storage Driver適用後の結果は以下のようになりました。

■表3-2) SiSoft Sandra 2001te - Drive BenchMark 「Intel UlTRaATA Storage Driver適用後」


Buffered Read Sequential Read Random Read Buffered Write Sequential Write Random Write Average Access
MPG3409AT
Drive Index : 20109
70MB/s 29MB/s 5MB/s 52MB/s 29MB/s 8MB/s 10ms
ST330621A
Drive Index : 20714
67MB/s 30MB/s 6MB/s 54MB/s 30MB/s 5MB/s 9ms

ドライバの適用により、HDBench同様、数値向上が確認されました。

結果を見ると、Sequential Read(連続読込み)およびSequential Write(連続書込み)が共に30MB/s近くマークするなど、両ドライブとも十分な性能を持っていることがわかります。特にMPG3409ATのRandomWrite 8MBという数値は、7200回転のドライブにもひけをとりません。


■表4) Ziff Davis Media WinBench 99 Version 1.2


MPG3409AT ST330621A
Business Disk WinMark 99 5190 4470
High-End Disk WinMark 99 18000 14900
Disk Playback/Bus:Overall 5190 4470
Disk Playback/HE:AVS/Express 3.4 9860 8630
Disk Playback/HE:FrontPage 98 115000 93100
Disk Playback/HE:MicroStation SE 18100 13900
Disk Playback/HE:Overall 18000 14900
Disk Playback/HE:Photoshop 4.0 9850 8960
Disk Playback/HE:Premiere 4.2 19200 17600
Disk Playback/HE:Sound Forge 4.0 43000 19800
Disk Playback/HE:Visual C++ 5.0 21700 19000
(Thousand Bytes/Sec)

最後にZDBenchの結果です。

DiskWinMarkは、アプリケーションを実行した場合の実際のディスクアクセスをシミュレートするため、より実質的な性能比較をすることができます。

さて、結果を見ると、興味深い事に他のベンチマーク結果と違い、全ての項目においてMPG3409ATの数値がST330621Aのそれを上回っています。

これは、キャッシュ容量512KBのST330621Aに対し、MPG3409ATが2MBのキャッシュを搭載していることが大きく影響しているものと考えられます。他のベンチマークテストでは数値的にST330621Aに一歩譲る格好だったMPG3409ATも、2MBのキャッシュのおかげで実際の動作時には差を補って余りある性能を発揮する事が期待できます。

普段HDDのスペックというと、どうしても容量や回転数ばかりに目が行って、キャッシュ容量やシークタイムは軽視しがちですが、5400回転のドライブの場合は特にキャッシュ容量にも気を配る必要があるかもしれません。


▼ まとめ

というわけで、今回とりあげたMPG3409ATですが、結果を見ての通り驚くほどの高い性能を持つというわけではありませんが、例えば家庭内LANなどでのファイルサーバ用、データ用やサブマシン用など、用途を絞って見た場合は非常に魅力的です。

また、今回詳しく触れることは出来ませんでしたが、ベンチマーク結果からは見えてこない部分、特にその静粛性は特筆に価します。5400回転ドライブということもありますが、発熱もあまり気にならないレベルです。まさに自家サーバ用途などには最適なドライブと言えるかもしれません。

5400回転ドライブといえば、これまであまり高性能というイメージは湧いてきませんでしたが、今回のテストから、最新の7200回転ドライブにはかなわないものの、十分に高いパフォーマンスを持つようになったことがわかりました。HDDに限らず、日進月歩でより高性能な製品が次々と生み出されているわけですが、特にこの1年程でのPCパーツの飛躍的な性能向上には目を見張るものがあります。

OEM向けなどで実績のある富士通社製HDDドライブ。個人的に今後の新製品にも期待していただけに、先日発表されたデスクトップPC向け3.5インチ磁気ディスク装置の新商品開発の中止は、非常に残念でなりません。


■ 参考リンク

Intel UlTRa ATA Storage Driver Home

TestaCD Labs Home Page(HD Tach)

HDBENCH NET(HDBENCH)

SiSoftware(Sandra)

Ziff Davis Media benchmarks from eTesting Labs(WinBench)



Posted by dospara_review at 11:27Comments(0)TrackBack(0)ハードディスク │2001年08月15日
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