大容量ハードディスクのRAIDは2TBの壁に注意

大容量 大容量ハードディスク

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こんばんは。
先日久しぶりに体重を計ったら結構やせており、
嬉しさのあまりその後1週間で焼肉へ2回行ってしまった(酒)です。

先週の「パーツの犬」で2TBのHDDを扱った様ですが、
そこで「2TB(テラバイト)の壁」の話が出ています。
その後、犬の某リンダ(某の意味なし)から「実際どういう場合に壁にぶつかるの?」という
質問が来ましたので、見てみることにします。


 ※2010/11/18:3TBハードディスクの記事を公開しました(2013/9/25リニューアル)。
  2TBの壁だけでなく、起動用ドライブとしてのOSインストール方法も解説していますので、
  ぜひこちらをご覧ください。
  3TBハードディスクの記事は こちら!




●2TBの壁とは?
最初に、2TBの壁についてさくっと解説します。
壁とは、その容量を超えるハードディスクを使えない、
使えても壁を超える容量部分は認識しない、といった問題です。
理由はOS・ハードウェアの仕様と様々ですが、
主に504MB、4GB、32GB、137GBといった壁があり、そのつど様々な新技術で克服してきました。
そして現在は、ハードディスク容量が1台1TB以上のハードディスクが登場し、
RAIDにすれば簡単に2TBを超えることが可能になったことで、
2TBの壁という話が持ち上がってきました。

なお、2TBのハードディスク:WD20EADSですが、フォーマット後の認識は1.8TB強のため、
RAIDにしない限り問題は発生しません。


そして2TBの壁ですが、理由には以下の2種類があります。
1:MBR(MasterBootRecord)問題
  MBRはハードディスクの先頭にあり、OSをどうやって起動するか、
  このハードディスクがいくつのパーテーションに分かれて、各パーテーションの容量がどれくらいか、
  といった情報が書き込まれています。
  MBRが管理できるセクタ数が4,294,967,296(約43億)、1セクタが512バイトなので、
  管理可能な容量は4,294,967,296 × 512 = 2,199,023,255,552(約2兆2000億)バイト、
  つまり2TBとなります。
※バイト数と容量について
1KB(キロバイト):1,024バイト
1MB(メガバイト):1,024 × 1,024 = 1,048,576バイト
1GB(ギガバイト):1,048,576 × 1,024 = 1,073,741,824バイト
1TB(テラバイト):1,073,741,824 × 1024 = 1,099,511,627,776バイト
2TBはその倍で、2,199,023,255,552バイト


2:10バイトCDB(Command Descriptor Block)問題
CDBとは、データ転送する際に、こういうデータを送ります、という信号です。
これが現在の10バイトCDBだと、ハードディスクの先頭から4,294,967,296セクタまでしか
管理できないため、MBRと同様2TBが限界となります。
※MBRとCDBの両方で出た「管理可能な4,294,967,296という数値」ですが、
  これは2の32乗、つまり32ビットということです。

これらの理由により、32bitのXPでは2TBまでのドライブしか利用できません。

なお、XP 64bitやVistaでは、GPT(GUID partition table:GUIDパーテーションテーブル)という
MBRに変わるパーテーション管理方法に対応しており、
2TB超えでもデータ用ドライブとしてなら使用可能です。

GPTはアドレス指定が64bitのため、2の64乗、
つまり18,446,744,073,709,551,616(約1844京)セクタまで管理可能。
これを512バイトで計算すると、9,444,732,965,739,290,427,392(約94垓)バイトとなります。
この数値を1,099,511,627,776(1TB)で割ると、8,589,934,592TBです。
つまり8ZB(ゼタバイト)まで対応という訳です。
※垓は兆の1万倍(京)のさらに1万倍、つまり兆の1億倍の単位です。


ではXP 64bitやVistaでOS起動用に使えるかというと、Vista 64bit(SP1以降)のみが対応です。
しかも、OS起動にはGPT対応のEFI(次世代BIOS)搭載マザーボードが
必要です(一部メーカーはBIOSでも対応)。
Windows Server 2003・2008 for Itanium-based Systems、Windows7 64bitなども対応ですが、
ここでは個人向けPCで扱っている現行のOSを前提に話を進めます。


2TBの壁を簡単にまとめると以下の通り。
・XP 32bit:基本的に使用不可(使えても2TBまで)。
・XP 64bit:データドライブのみ使用可能。
・Vista 32bit:データドライブのみ使用可能。
・Vista 64bit(SP1以降):OS起動・データどちらも可能。ただしOS起動用には、EFI(次世代BIOS)搭載マザーボードが必要。




●RAID設定と2TBの壁回避方法
2TB超えのドライブ使用には制限があることが分かりましたが、だからといって
「1.5TBや2TBでRAID 0にすると2TBを超えて使えないなら、
1TB以下の製品2台で我慢……」ではありません。

次は実際にRAIDを構築し、2TB超えのディスクを作成して壁をチェック。
その上でOSインストールやデータ用ドライブとして使ってみます。

PC構成はこちら。
マザーボード:MSI X58 Platinum SLI
CPU:Core i7 920
メモリ:A-Data PC3-10600 1GB×3
ビデオカード:Palit 9600GT
RAID:オンボード(ICH10R)
OS:Windows Vista Ultimate 32bit

ハードディスクは、SEAGATEの1.5TB:ST31500341ASを2つ用意して、
RAID 0で3TBに(実際は2.7TB前後)しています。



1・起動用ドライブにする場合
 例:1.5TB×2をRAID 0で高速起動ドライブにしたい

BIOSでRAIDに BIOSでRAID MODEを「RAID」に。




CTRL+I 再起動すると、「Ctrl+I」を押す様にとメッセージが出現。表示時間が短いので素早く押すこと(押すキーはマザーやRAIDカードごとに違います)。




IMS Intel Matrix Storageが起動します。最初からVolue0というボリュームがありますが、このままの容量だと2TBの壁にて使えません。




RAID見えず 試しにこのままBIOSへ。ブートドライブをチェックすると、DVDドライブの名前が見えますが、「RAID:」はVolume0という名前がありません。
つまり認識されていない状態のため、OSインストールを開始しても途中から進まなくなります(OSを入れる先のドライブが見えない)。




IMS 再起動でIntel Matrix Storageに戻り、先のVolume0を削除しましょう。




3TB-1 新ボリュームを作成、1つのボリューム容量が2TBにならない様に、今回は800GBの「3TB-1」、残り1994.5GBの「3TB-2」という2ボリュームに分割。もちろんRAID Levelは0です。




2ボリューム完成 完了です。




RAID見える ツールを終了して再度BIOSへ。無事にRAID名「3TB-1・2」が見えます。OSを入れたいボリューム(ここでは3TB-1)をCDの次にして、Vistaをインストールしましょう。




Vistaインスト

もしOSインストール中にドライブが見えない場合は、VistaのDVDからRAIDドライバが入っていません。
このマザーボードは問題ありませんが、見えない場合は、
左下の「ドライバの読込み」からRAIDドライバをインストールします。
ドライバは付属CDに入れ替えるか、ドライバCD内のデータをUSBメモリにコピーして、
それを読み込ませます。


さすがに2.7TBの単体ドライブ構成でOSインストールは不可でしたが、
1.5TB製品2台のRAID 0を維持しつつ、OS起動ドライブとして使用できました。



2・データ用ドライブにする
 例:別に用意した1TBのハードディスクを起動用ドライブにして、
 1.5TB×2をストライピングで2.7TBのデータドライブにしたい

BIOSでRAID MODEを「RAID」にして、普通にVistaをインストール。
この時OSを入れる先は1TBなので間違えないように。
見えない場合は先のIntel Matrix Storageで、1TBにボリューム名がないか確認してください。


OSでインスト Vistaインストール後、ドライバCDからRAID・その他ドライバをインストール。




ツリーに3台 Vista版のIntel Matrix Storage Consoleを起動。Non-RAID Hard Drivesのツリーに3台のハードディスクが表示されているのを確認。




RAID作成 「Actions」タブの「Create RAID Volume」を選択。




3TB_DATA ボリューム名「3TB_DATA」で作成してみます。




2台を選択 2台の1.5TBを選択して「Selected」に移動。あとは進めるだけ。




無事完成 無事に「3TB_DATA」が完成。




次はディスクの初期化です。コントロールパネルの管理ツールを起動し、「ディスクの管理」へ。




GPT選択 ディスクの初期化では、「GPT」を選ぶと2.7TBのドライブが作れます。




2.7TB成功 2794.40GBのドライブになりました。あとは普通にシンプルボリュームを割り当ててフォーマットすれば2.7TBの単体ドライブが誕生です(もちろんパーテーション分割も可能)。




MBRにすると なお、初期化の際にMBRを選ぶと、自動で2048GBと残りの746.52GBに分割されます。





●RAID 0の速度もチェック
せっかくRAID 0にしたなら速度を見たくなったので定番のテストを実施。参考として、先週の犬で見た1台の結果と比較します。

・CrystalDiskMark2.2
RAID速度 RAID 0

1台速度 1台(参考)


シーケンシャルで240MB/s前後出ました。
1台での数値が130MB/s強のため、1.8倍以上になっています。



・LineageII起動時間
※スタートメニューで「スタート」を押してから、タイトル画面が表示されるまでの時間。
 OS起動直後と、タイトル表示後すぐにゲームを終了し、すぐ再起動の2回を計測。
  1回目 2回目
RAID 0 17秒 14秒
1台(参考) 27秒 16秒

1回目からいい感じです。もちろんゲーム内でもスムーズでした。



・10.6GB(ファイル数2,399)の同一ディスク内コピー時間
RAID 0 3分42秒
1台(参考) 5分58秒

このST31500341ASは、最初に紹介した記事でも同一ディスク内コピーが少し遅い傾向がありましたが、
RAID化でちゃんと補っています。



結果として、RAID 0で無事大容量&高速化しました(当然と言えば当然ですが)。
大容量の高速ドライブは、特に動画編集といった大容量データを扱う時に重宝しますし、
地デジチューナーの録画先に設定するのも良いでしょう。
これから2TB超ドライブを作成したい方はもちろん、以前チャレンジして、
壁に気付かず断念した方もぜひ参考にして下さい。



その他記事一覧は こちら



Posted by dospara_review at 19:27Comments(4)ハードディスク | 耳より情報2009年03月13日
この記事へのトラックバック
1. 2TB時代の壁  [ しいしせ日記 ]   2009年04月28日 12:54
ドスパラによると、HDDの2TB越えがOSによっては壁になるらしい。 そういえばそんなこともあった?
2. 2TBのHDD  [ PCやPS3とかの日記 ]   2010年01月13日 00:05
最近メインPCの容量が足らなくなってきたので HDS722020ALA330 (2TB SATA300 7200)を買おうと思っていたところ、 ここで一つ問題が… 2TBの壁 俺のPCの...
この記事へのコメント
1. Posted by 木村 孝   2009年03月15日 06:26
1TB2台RAID 0 ベンチ結果は順当でした
P45 E8400 ES250 6台 RAID 0をQuad 9550sに換装
したら書き込みグンとUPしました
2. Posted by 名無し   2009年03月19日 18:25
UEFI持ちマザーで2TB以降からのブートをやってほしかった
3. Posted by トシ   2010年12月10日 02:11
GPTがEFIでしか使えないのは昔の話で、
現在は拡張されておりGPTにMBRインストールできます。
なのでEFIは要りません
4. Posted by 今更   2015年06月15日 16:54
1TBのHDD×4でRaid01を構築し、2TB認識させる場合はWindowsXP Pro 32bitでも使えるということですね。
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