新Core i5・i7 コア数と消費電力の関係を探る

メーカー名&URL
Intel:http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/homepage.html
どうも、涼しくなり寝やすくなったのは良いのですが、
薄着で寝るため早朝の冷え込みで起きてしまう日々が続き、結局寝不足気味な(酒)です。
今週火曜に登場した新Core i5・i7プロセッサ(コードネーム:Lynnfield)は、
TDPが95Wで、従来のCore i7(TDP130W)より消費電力が低下しました。
実際に各大手サイトのレビューでも、その結果を裏付けています。
ですが、いずれのサイトでも、コア数の違いによる消費電力の変動に触れていません。
ならばという訳で、今回は新i5・i7のコア数別消費電力のチェックを行います。
●BIOSで動作コア数を変更可能。
今回「コア数別」というポイントに着目した理由は、
Core i5・i7が持つTurbo Boostテクノロジーの存在です。
例えばi5 750は定格クロック2.66GHzですが、高負荷のコア数が1・2個の場合、
Turbo Boostにより3.2GHzまで高速化します。
従来のCore i7にもTurbo Boost機能はありますが、
新Core i5・i7はクロック上昇幅が大きくなったのが特長です。
つまり、コア数より動作クロックがモノをいう古いゲームの場合、
コア数を減らした方が高クロックになるから快適なのでは? と考えた訳です。
ではチェックを開始します。
駆動コア数の設定方法ですが、新Core i7・i5対応のP55マザーボードなら、
駆動コア数をBIOS上で変更できます。
※Foxconn、ASRock、MSIの各マザーで確認。

コア数は、1・2・ALL(4)を選択可能ですが、3コア化はできません。
次に、コア数がゲームに影響するか、ベンチマークでチェックします。
PCスペックは以下の通り。
CPU:Core i5 750
マザーボード:ASRock P55M Pro
MEMORY:PC3-10600 2GB×2
ビデオカード:GALAXY GeForce9600GT GE
電源:750W
使用ソフトと設定は以下の通り。
・3DMark06
解像度:1920×1200 Select Tests:「Select ALL」
・Final Fantasy Benchmark(FFベンチ)3
High(1024×768)
3DMark06 | FFベンチ3 | |
---|---|---|
1コア | 6875 | 9399 |
2コア | 7860 | 9074 |
4コア | 8363 | 8787 |
3DMark06の結果はコア数に比例しますが、
FFベンチはコア数が減るごとにアップしました。
やはり古めのソフトは、動作クロックが影響するという事でしょう。
4コアが働くと最大クロックは2.8GHzのため、1・2コア時の3.2GHzには勝てません。
なお、同じ3.2GHzのはずの1・2コアでも差が出るのは、
FFベンチの負荷が軽く、2コアだと1コア時よりクロックが上がらないためでしょう。
少し古いマルチコア非対応のソフトは、コア数を減らした方が快適になる事があるということです。
ただし、「ゲームしながらインターネットやチャットを行うので他のソフトも複数起動している」という方は、 コア数が少ないと処理が重くなる可能性が高いため、4コアのままが良いでしょう。
●コア数ごとの消費電力に注目
次にコア数と消費電力の関係を見てみます。
i5 750・i7 870の4コア時における消費電力をチェック。比較用に、TDP130Wのi7 950も用意しました。
i5 750・i7 870環境
マザーボード:ASRock P55M Pro
MEMORY:PC3-10600 2GB×2
ビデオカード:GALAXY GeForce9600GT GE
電源:750W
i7 950環境
マザーボード:ASUS P6T-SE
MEMORY:PC3-10600 2GB×3
ビデオカード:GALAXY GeForce9600GT GE
電源:850W
CPU負荷ソフトは、「Prime95」を使用。各レビューサイトより消費電力が大きいのは、
ゲームとは異なり、強制的に最大負荷をかけているためです。
※今回はCPU負荷のみです。
アイドル時 | 負荷時 | |
---|---|---|
i5 750 | 73W | 178W |
i7 870 | 76W | 215W |
i7 950 | 105W | 248W |
グラフにすると以下の通り。
クロックが低く、Hyper-Threading Technology(HT)機能がないi5 750ですが、
その分消費電力も低いです。
次に、コア数を変更しながら消費電力をチェック。
※HT対応CPUは、各コア数ごとに機能のON/OFFも実施。
アイドル時:HT無 | 負荷時:HT無 | アイドル時:HT有 | 負荷時:HT有 | |
---|---|---|---|---|
i5 750:1コア | 72W | 105W | − | − |
2コア | 72W | 132W | − | − |
4コア | 73W | 178W | − | − |
i7 870:1コア | 77W | 110W | 75W | 120W |
2コア | 73W | 147W | 76W | 162W |
4コア | 72W | 195W | 76W | 215W |
i7 950:1コア | 102W | 133W | 103W | 141W |
2コア | 103W | 158W | 103W | 173W |
4コア | 103W | 220W | 105W | 248W |
コアを減らすと消費電力も大きくダウン。これは従来のi7 950も同様です。
つまり、コア数を減らす利点は、古いソフトの快適化だけでなく、
例えば「MMOで露店放置、あるいは動画編集を開始して仕事に行きたい」という場合は、
コア数を減らしておくことで、長時間の負荷状態でもエコになる訳です。
なお、今回はBIOSで物理的に駆動コア数を変更しましたが、
それは面倒という方も多いと思います。
そこで、タスクマネージャの「関係の設定」を活用してみましょう。
※CPUはi7 870を使用。
普通に1コア負荷では倍率が23倍、3.06GHzどまりです。
Prime95.exeを右クリックで「関係の設定」を選択。
これでPrime95は1コアしか使いません。
※OSやソフトを落として再起動すると設定は戻ります。
「関係の設定」でコア数を減らして負荷をかけた場合でも、
BIOSでの設定同様に消費電力が軽減します。
i5 750で見たところ、2コア時に136W、1コアで106Wと、先の数値とほぼ同じになりました。
ただし、この方法だと、他にソフトが起動すれば複数コアを使う事になり、
消費電力も相応にアップします。
本当にそのソフトしか起動しない場合に設定すると効果的です。
OSを再起動してBIOS設定に入り完全にコア数を減らすか、
OS上で実行ファイルを手軽に「関係の設定」をするかはお好みでお選びください。
●マザーボード独自の省電力機能も注目
これまではCPUの消費電力をチェックしましたが、
マザーボード側にも気になる機能があるのでチェックします。

という事で、Intelligent Energy Saver機能の有無による消費電力も見てみます。
※CPUはi5 750です。
アイドル時: 省電力無 |
負荷時: 省電力無 |
アイドル時: 省電力有 |
負荷時: 省電力有 |
|
---|---|---|---|---|
1コア | 72W | 105W | 71W | 100W |
2コア | 72W | 132W | 71W | 125W |
4コア | 73W | 178W | 71W | 166W |
アイドル時は誤差の範囲と言えなくもないですが、
負荷時には最大12W減っており、効果ありと言えそうです。
ただしCPUやチップセット本来の機能ではないので、使用時はご注意を。
なお、これら機能は各メーカーごとに名称や効果が異なります。
(メモリを1枚にして、デュアルチャネルを切ると省電力になる製品もあるそうです)
省電力機能の名称や効果は、メーカーHP等でチェックしてください。
という訳で無事チェック完了。
結果を見る限り、新Corei5・i7はアイドル時の低消費電力が魅力なのはもちろん、
コア数変動でさらなるエコ化や古いゲームの快適化も見込める事が判明し、
面白いCPUという印象を受けました。
新Corei5・i7の消費電力に注目している方は、ぜひ今回の記事を参考にして下さい。
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