3TBハードディスクの使用法大検証、2TBの壁も再チェック

旧製品写真 3TB・4TB製品各種

現在販売中の3TB製品はこちら!
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先日メインPCをWindows 8にしたところ、
デュアルディスプレイの画面毎に壁紙が設定できる事に喜びつつも、
ガジェットが無くなって一部を別ソフトででカバーせざるを
得ない事が少し残念に感じている(酒)です。

2010年11月18日に公開したこの記事ですが、
当時少なかったUEFIマザーボードも現在はほぼ全製品が対応になり、
OSも64bitがメインになるなど、UEFIを取り巻く環境が変化しました。

そこで、当時行えなかったUEFIによるOSインストール方法の手順を追記、
さらに現行の3TB製品での速度チェックも加えて、
記事をリニューアル致します(2013年9月)。

 ※2016/2/12:記事を見やすく再リニューアルしました。
   リニューアル記事はWindows7/8の頃に作成したため使用製品も当時の物ですが、
   GPTの初期化方法などはWindows8.1や10でも同じです。




●「2TBの壁」を再確認
3TB以上の大容量ハードディスクを扱う前に、
2TBの壁を知っておく必要があると思いますので再度解説します。
 ※以前の2TBの壁&RAID方法解説記事は こちら!

2TBの壁とは、OSやマザーボードの仕様により、
壁を超える容量の製品を使えない、使えても壁を超える部分は認識しない問題です。
この壁における2TBとは、実容量2.19TBとなります(OS上の表記は2TB)ので、
実質3TB以上の製品です(2.5TBも1製品だけありました)。
現在発売中の2TB製品は、OS上だと約1.81TBになるため、壁には該当しません。


なお、壁の原因には以下の2種類があります。
1:MBR(MasterBootRecord:マスターブートレコード)問題
MBRはハードディスクの先頭にあり、OSをどうやって起動するか、
このハードディスクがいくつのパーテーションに分かれて、
各パーテーションの容量がどれくらいか、といった情報が書き込まれています。
MBRが管理できるセクタ数が4,294,967,296(約43億)、1セクタが512バイトなので、
管理可能な容量は4,294,967,296 × 512 = 2,199,023,255,552(約2兆2000億)バイト、
つまり2TBとなります。
 ※バイト数と容量について
  1KB(キロバイト):1,024バイト
  1MB(メガバイト):1,024 × 1,024 = 1,048,576バイト
  1GB(ギガバイト):1,048,576 × 1,024 = 1,073,741,824バイト
  1TB(テラバイト):1,073,741,824 × 1024 = 1,099,511,627,776バイト、
  2TBはその倍となるため、              2,199,023,255,552バイト。

2:10バイトCDB(Command Descriptor Block)問題

CDBとは、データ転送する際に「こういうデータを送ります」、という信号です。
これが現在の10バイトCDBだと、ハードディスクの先頭から
4,294,967,296セクタまでしか管理できないため、MBRと同様2TBが限界となります。
 ※MBRとCDBの両方で出た「4,294,967,296」という数値ですが、
  これは2の32乗、つまり32ビットということです。



対応方法:GPT形式で初期化する

上記のMBR・CDBによる問題を防ぐには、ハードディスクの初期化方法を、
WindowsXP 64bit・Vista・7・8・10が持つ管理方法である、
GPT(GUID partition table:GUIDパーテーションテーブル)にすることです。
 ※GPTはアドレス指定が64bitのため、2の64乗、つまり
  18,446,744,073,709,551,616(約1844京)セクタまで管理可能。
  この1セクタを512バイトで計算すると、
  容量は9,444,732,965,739,290,427,392(約94垓)バイト、
  さらに、1,099,511,627,776バイト(1TB)で割ると、8,589,934,592TBのため、
  8ZB(ゼタバイト)まで対応という事になります。

さらに、最近増えているAdvancedFormatにより、
1セクタの容量を増やすことで壁を超える方法もあります。
1セクタが4Kバイトという事は、512バイトの8倍ですので、
壁も8倍の16TBとなる訳です。
ただし、現在のAdvancedFormat製品は、
従来製品との互換性を保つため、OSに対して「1セクタ:512バイト」という信号を送っており、
結局のところ2TBまでの利用になります。
こういった製品を「エミュレーターデバイス」と呼びます。

つまり現在2TBの壁を超えるにはGPTでの使用が必須ですが
逆に言えば、GPT対応OSでデータ用ドライブとして使うのは簡単です。
 ※ネットワークドライブにするなどの特殊な方法での回避も可能ですが、
  ここではSATA接続を前提とします。

OS起動用としては、BIOSが「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」であるか、
メーカーが独自に対応させる必要があり、2010年当時はハードルが高かったのです。
という訳で、実際に2TBの壁超えハードディスクやUEFIマザーボードを用意しましたので、
データ用や起動用として試してみましょう。




●データ用として使う場合
  設定は非常に簡単
最初にデータ用の増設ドライブとして使用します。

新HDD写真
用意した3TB製品は、
Western Digital:WD30EZRX-1TBP
TOSHIBA:DT01ACA300

となります。そして、2010年に計測した製品は、
Western Digital:WD30EZRS & WD25EZRS
HITACHI:HDS723030ALA640
の3種類です。
データ用としての使い方は、普通に増設ドライブとして接続し、OSを起動します。

MBRとGPT
コントロールパネルから、
管理ツール→コンピュータの管理→ディスクの管理、と進むとこの画面になります。
(Windows 8・10は画面左下にカーソルを置くとすぐディスクの管理を選べます)
「ディスク1」と「ディスク2」が増設した3TB製品です。
試しに「ディスク1」をMBR、「ディスク2」をGPTにしてありますが、
MBR側は約746GBが未割り当てとなります。

未割り当て変更不可
2TBの壁に該当する「ディスク1」の未割り当て部分は
「新しいシンプルボリューム」が選べません。
つまりこの746GBは使えないという事です。

GPT選択
なお、初期化されているドライブを増設していると、「ディスクの管理」選択時に
このウインドウが出ます。ここでGPTを選べば全容量が使えます。


無事データ用として使えたところで、速度も計測してみます。
使用PCは、
 マザーボード:ASRock Z87 Extreme4
 CPU:Core i7 4770K
 MEMORY:PC3-12800 4GB×2
 OS:Windows 8 Pro 64bit
です。

そして、2010年の環境はこちらです。
 マザーボード:ASRock 890GX Extreme4
 CPU:PhenomII X6 1090T
 MEMORY:PC3-10600 2GB×2
ビデオカード:RADEON HD5870
OS:Windows 7 Ultimate 64bit

チェック方法は以下の通りです。
ただし、LineageIIは当時と現在のプログラムが全く異なる為、
今回は割愛しています。
・CrystalDiskMark 3.0.2(2010年のバージョンは3.0)

・LineageII起動時間
 ※スタートメニューで「スタート」を押してから、タイトル画面が表示されるまでの時間。
  OS起動直後と、タイトル表示後ゲームを終了し、すぐ再起動の2回を計測。
・同一ディスク内データコピー
 ※ファイル数2,399、容量10.6GB

WD30EZRX ・WD30EZRX

DT01ACA300 ・DT01ACA300


WD25EZRS ・WD25EZRS

WD30EZRS ・WD30EZRS

HDS723030ALA640 ・HDS723030ALA640

  データコピー時間 LineageII
WD30EZRX 3分30秒
DT01ACA300 2分28秒
WD25EZRS 4分32秒 24・14秒
WD30EZRS 4分35秒 24・14秒
HDS723030ALA640 2分57秒 23・14秒


現行の2製品を見ると、
1TBプラッタ&7200回転のDT01ACA300は流石の速度と言えます。
なお、同じ1TBプラッタのWD30EZRXは速度が見劣りする印象ですが、
本製品は回転数を抑える事で、消費電力や発熱も少ないという
「WD Greenシリーズ」ですので、問題ありません。
むしろ発熱の少なさに注目して下さい。
実際にチェック中の2製品を触ったところ、WD30EZRXはわずかに熱を持つ程度でした。
Mini-ITX用など、3.5インチドライブが1つしか搭載できない、
また内部が狭くて熱がこもりやすいケースに向いた製品と言えるでしょう。

2010年の計測結果ですが、WDの2製品は、なぜか2.5TBのほうが高速でした。
これはG41・P55・X58・785Gなど複数チップセットで確認済みです。
HITACHIはSATA3.0対応・7200回転だけあり高速でした。
LineageII起動時間は3製品とも互角と言えそうです。




●起動用ドライブにするためには
  UEFIマザーボードが必要
次はUEFI(GPT)対応の起動ドライブ化を行います。
UEFI搭載マザーボードとWindows 10・8・7・VISTAの64bit版ディスクが必要です。
 ※BIOS時代のマザーボードでも、メーカーが独自技術で対応している製品が有ります。

UEFI名有り
最初に64bit OSのDVDを光学ドライブに入れてから、
UEFI(BIOS)を起動し、起動ドライブの先頭を「UEFI:光学ドライブ名」に変更して再起動。
もしくは起動時にBootSelect画面を呼び出し、「UEFI:光学ドライブ名」を選択します。
 ※BootSelect画面の出し方:
  起動時にマザーボードが対応しているキーを押す。
  ASRock・MSIはF11、ASUSはF8、GIGABYTEはF12、というパターンが多いですが、
  念のために説明書をご確認ください。

UEFI名無し
64bit OSのDVDを入れていないと、
UEFIやBootSelect画面で「UEFI:光学ドライブ名」が表示されません。
「SATA:光学ドライブ名」や「AHCI:光学ドライブ名」では
従来通りMBRインストールになるので注意。
SATA設定がIDEだとダメですので、その場合はAHCIに変更して下さい。

UEFIメッセージ
UEFIインストールが開始されると、このメッセージが表示されますので、
素早くキーを押してください。ここで遅れるとMBRで進んでしまう、
もしくはUEFI画面になってしまいます。
なお、UEFI時のメッセージは、MBRとフォントが異なります。

通常メッセージ
MBR時のメッセージはこのフォントです。

インストール01
この画面になったら、すぐ「次へ」を押しても良いですが、
その場合、MBRになっていても気付かずにOSインストールが進んでしまいます。
「ドライブオプション(詳細)」で領域を確保すると、
UEFIになっているかを確認可能です。

インストール02
全容量を確保してみます。
「新規」→容量そのままで「適用」を押しましょう。

インストール03成功
ご覧の様に、MSR(予約済み)といった状態になっていれば成功です。

インストール03失敗
この様になった場合は、MBR化しています。
「割り当てられていない領域」は使用不可ですので、
他の領域を削除し、まっさらな状態に戻して起動からやり直してください。
 ※この分割状態のままUEFIで再起動すると、
  使用不可領域が削除できないので注意。


インストール終了
あとは普通にインストールを進めてください。
気になる方は念のためOS上でも容量を確認してください。
全容量が使えていれば無事UEFIになっています。




●Windows XPでは
  正常な使用は困難
最後にWindows XP 32bitではどうなるかチェック。

XPでの容量
データ用・OS起動用、どちらも「一応」使えました。
「ディスク0」がデータ用の3TB、「ディスク1」がOS起動用の2.5TBです。
ただし、容量はご覧の通り。
なお、この容量は、Windows 7でMBR設定時の「未割り当て部分」と同じです。
理由は不明ですが、「XPでは2TBの壁の外側分の容量しか使えない」模様です。
マザーボード次第で認識容量が違う可能性が有るものの、
どちらにしろまともには使えないと考えて良さそうです。

なお、XP 64bitはGPT対応のため、データ用ドライブとしては理論上使用可能ですが、
メーカーがXPを保証しておらず、自己責任となりますのでご注意下さい。




●2010年当時と比べ
  「2TBの壁」のハードルは確実にダウン
以上、速度やインストールのチェックが終了しました。
現在のマザーボードと64bit OSの組み合わせなら、
データ用はもちろん、起動ドライブとしての使用も
簡単になったと言えそうです。
 ※32bit OSの場合はUEFIでの起動用ドライブはできません。

これは4TB以上の製品でも同じ様に行えますので、
大容量な製品が欲しいけど壁が気になるので2TBで我慢、
という必要はありません。
対応マザーボードや64bit OSがある方は、
安心して3TB以上の製品をお選びください。




■今回紹介した製品
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ドスパラ各店舗でも販売中!

その他記事一覧は こちら



Posted by dospara_review at 18:29Comments(5)ハードディスク | マザーボード2016年02月12日
この記事へのコメント
1. Posted by T   2010年11月20日 07:28
32bit XPに Paragon GPT Loader をインストールした状態でも検証して欲しいです。
2. Posted by えんどう   2011年01月21日 13:33
先日3Tを本店にて購入し、3T起動ディスクに挑戦していますが、挫折しました。。。
当方のMBはMSI
P35 Neo3-EFINITY
なのですが、このMBでは3T起動はむりなのでしょうか>?
3. Posted by Yoshitoimi   2013年01月19日 23:54
280.64GBしか使えないのですが。
WD25 EZRXです。
4. Posted by SNOW   2015年05月28日 10:22
利用しているのは、ASRockのZ97 Extreme4とWindows8.1/64bit版です。自分でインストール時に、UEFI対応ボードでもレガーシーモードとUEFIモードの選択があって、インストール後には変更できない(らしい)ということを知らず、ただインストールすればUEFIになるんだろうと思ってました。インストール後数ヶ月(遅すぎ)して、ある記事でレガシーモードを知り、ふとシステム情報をチェックしたらきっちり自分がレガシーモードでインストールしてたのを知ってショックだったので、ぼくの経験がお役に立てれば。
5. Posted by kk   2015年08月19日 10:14
スタンドタイプのUSB外付けで3T越えのディスクを使った場合互換性がいろいろになっているかと思います。
そのままGPTの内蔵ディスクが使えるスタンドとエミュレータデバイスになっているスタンドの一覧みたいなものが検証されていると嬉しいです。
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