HITACHIの4TBハードディスク「0S03361」を検証

メーカー名&URL
日立グローバルストレージテクノロジーズ:
http://www.hitachigst.com/portal/site/jp/
どうも、一気に寒くなり家の暖房全開になってきたものの、
スーパー厚着モードでなんとか消費電力を抑えようと奮闘している(酒)です。
2011年最後となる今回は、
先日登場した年末を飾るに相応しい大物ハードディスクを見てみましょう。
●2TBの壁を再確認
今回用意したハードディスクは、
HITACHI:0S03361
です。ご存知の通り、本製品は容量が4TBという事で話題になっています。
その他スペックは、800GBプラッタ5枚、回転数可変(Coolspin)、キャッシュ32MBとなります。
※CrystalDiskInfoでは5700回転と表示されました。

重さは690gでした。
本製品のみならず、2.5TB以上のハードディスクを使う際には、
「2TBの壁」を知っておいたほうが良いでしょうから再度解説します。
なお、今回は3TB製品紹介時の解説を簡略化しているので、
詳細な数値などを確認したい場合は、3TBの記事をご覧ください。
※3TBハードディスク紹介時の記事は こちら!
2TBの壁とは、OSやマザーボードの仕様の都合で、
壁を超える容量を使えない、使えても壁を超える部分は認識しないという問題です。
ちなみに2TBの壁の実容量は、2.19TBとなります(OS上の表記は2TB)。
現在発売中の2TB製品は、実容量(OS上の表記)が約1.81TBのため、壁には当たりません。
2.5TB以上の製品が該当します。
壁の原因には以下の2種類があります。
1:MBR(MasterBootRecord:マスターブートレコード)問題
MBRはハードディスクの先頭にあり、OSをどうやって起動するか、
このハードディスクがいくつのパーテーションに分かれて、
各パーテーションの容量がどれくらいか、といった情報が書き込まれています。
MBRが管理できるセクタ数が4,294,967,296(約43億)、1セクタが512バイトなので、
管理可能な容量は4,294,967,296 × 512 = 2,199,023,255,552(約2兆2000億)バイト、
つまり2TBとなります。
2:10バイトCDB(Command Descriptor Block)問題
CDBとは、データ転送する際に「こういうデータを送ります」、という信号です。
これが現在の10バイトCDBだと、ハードディスクの先頭から4,294,967,296セクタまでしか
管理できないため、MBRと同様2TBが限界となります。
対応方法は、WindowsXP 64bit・Vista・7が持つ管理方法である、
GPT(GUID partition table:GUIDパーテーションテーブル)にすることで全容量が使用可能になります。
つまり現在2TBの壁を超えるにはGPTでの使用が必須となります。
ただし、GPT対応OSさえあれば、データ用ドライブとして使うのは簡単です。
OS起動用としては、OSがWindows Vista・7であり、さらに
BIOSが「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」であるか、
メーカーが独自に対応させる必要があります。
最近のGIGABYTE製マザーボードは、BIOSのまま3TBに対応させています(X79チップセットからUEFIを採用)。
※GIGABYTE製品での壁越えドライブへのOSインストール方法紹介記事は こちら!

壁越えドライブはデータ用として使う方が多いという事で、使用時の注意点を解説します。
初期化されたままのハードディスクを接続後、OS上で
コントロールパネル→管理ツール→コンピュータの管理→ディスクの管理
と進むと、このウインドウが開きます。
ここで「GPT」を選べば全容量が使用可能になります。
MBRにすると、2048MBしか使えません。

間違ってMBRにした場合は、青囲みのディスク番号部分を右クリックし、
赤丸内の「GPTディスクに変更」を選べばOKです。

ただし、MBRの使用可能部分にボリュームを作成してしまうとGPT変換はできません。
ボリュームを削除してください(もちろんデータは消えます)。
●高速モデルではないが十分な速度
では速度チェックを始めます。
使用PCとチェック内容は以下の通りです。
マザーボード:ASRock X79 Extreme4
CPU:Core i7 3930K
MEMORY:PC3-10600 4GB×2
ビデオカード:GeForce GT440
OS:Windows 7 Ultimate 64bit
・CrystalDiskMark 3.0.1b
・LineageII起動時間
※スタートメニューで「スタート」を押してから、タイトル画面が表示されるまでの時間。
OS起動直後と、タイトル表示後ゲームを終了し、すぐ再起動の2回を計測。
・同一ディスク内データコピー
※ファイル数2,399、容量10.6GB

LineageII起動時間(1回目・2回目) | データコピー時間 | |
---|---|---|
0S03361 | 58秒・38秒 | 3分22秒 |
参考:HDS723030ALA640 (3TB・7200回転) |
56秒・34秒 | − |
参考:m4 CT256M4SSD2 (256GB) |
26秒・19秒 | − |
CrystalDiskMarkの数値は、シーケンシャルで135MB/s前後でした。
本製品のプラッタは800GBで、また回転数可変のCoolspin技術採用モデルのため、
さすがに1TBプラッタ・7200回転の製品よりは遅くなります。
とはいえ130MB/sを超えているので、
OSをインストールしても速度の不満は無いでしょう。
LineageII起動時間がやけに遅いため、同じくHITACHIの3TB製品(7200回転)と、
Crucialのm4 CT256M4SSD2(256GB)でも計測したところ、
3TBでも56秒、m4も29秒かかりました(m4を紹介した5月の計測結果は16秒)。
「パーツの犬」Seagate 1TBプラッタ記事でも触れていますが、
LineageIIは11月に超大型アップデートで容量が大幅に増え起動時間が延びました。
しかも12/20からのイベントのためデータを読み込んでおり、さらに延びています。
その為以前との比較はできませんが、
7200回転と2秒差で済んでいるので、別段遅いという事はありません。
※Crucial:m4の紹介記事は こちら!
なお、主観ですが動作音がさほど大きくないと感じた点もポイントです。
結果として、本製品はデータ用として十分な速度&容量を持ち、
OS用としての使用も問題ありません。
また、タイ洪水の影響でハードディスク全体が値上がりしている中、
3TB製品登場時と同価格で発売されたということで
容量当たりのコストパフォーマンスも上々です。
複数あるハードディスクのデータをまとめたいと考えている、
またはドライブが1つしか入らない小型ケースを使っている方にとって、
非常に便利な製品と言えるのではないでしょうか。
■今回紹介した製品
HITACHI:0S03361
その他記事一覧は こちら
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