RADEON 300シリーズ&Fury Xを大検証
RADEON 300シリーズ & R9 Fury X
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そろそろ4Kもしくは21:9ウルトラワイド液晶が欲しくなってきた(酒)です。
今回は、RADEONの新製品である「300シリーズ」と「R9 Fury X」
を徹底検証します。
■200シリーズリブランドの「300シリーズ」
HBMと水冷採用のハイエンドVGA「R9 Fury X」
先日新登場した新RADEONには、200シリーズをリブランドした300シリーズと、
新たに開発された上位モデルの「R9 Fury X」があります。
300シリーズは、200シリーズのリブランドですが、
シリコンチップの進化とGPUやメモリが高クロック化したことにより、
性能向上が見込めます。
そして先週登場した「R9 Fury X(以下Fury X)」は、
ビデオメモリに新技術の「HBM:High Bandwidth Memory」
を採用した事で話題となっています。
HBMを簡単に説明すると、メモリチップを平面に並べるのではなく
重ねる(積層)事で設置面積を削減。
さらにメモリバスのビット幅を高める事が可能で、
その分動作クロックを抑えても帯域幅を増やせます。
結果的に、クロックが低い分消費電力を減らしながらメモリ帯域を増やせ、
基板上に並べるメモリチップの面積が激減するのでカードも小さくできる訳です。
新RADEONの基本スペックは以下の通りです。
R9 380はR9 280XやR9 280ではなくR9 285、
R7 370はR9 270ではなくR7 265の後継となります。
(以下文章中のR表記省略)
VGA名 GPUコア名 |
シェーダ 数 |
TMU・ ROP数 |
搭載メモリ メモリバス |
GPU 最大クロック |
メモリクロック メモリ帯域 |
TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
Fury X Fiji |
4096 | 256・64 | HBM 4GB 4096bit |
1050MHz | 1000MHz相当 512GB/s |
275W |
R9 390X Hawaii |
2816 | 176・64 | GDDR5 8GB 512bit |
1050MHz | 6000MHz相当 384GB/s |
275W |
R9 390 Hawaii |
2560 | 160・64 | GDDR5 8GB 512bit |
1000MHz | 6000MHz相当 384GB/s |
275W |
R9 380 Tonga |
1792 | 112・32 | GDDR5 2or4GB 256bit |
970MHz | 5700MHz相当 182.4GB/s |
190W |
R7 370 Curacao |
1024 | 64・32 | GDDR5 2or4GB 256bit |
975MHz | 5600MHz相当 179.2GB/s |
110W |
R7 360 Bonaire |
768 | 48・16 | GDDR5 2GB 128bit |
1050MHz | 7000MHz相当 112GB/s |
100W |
R9 290X Hawaii |
2816 | 176・64 | GDDR5 8GB 512bit |
1000MHz | 5000MHz相当 320GB/s |
250W |
R9 290 Hawaii |
2560 | 160・64 | GDDR5 8GB 512bit |
1000MHz | 5000MHz相当 320GB/s |
250W |
R9 280X Tahiti |
2048 | 128・32 | GDDR5 3GB 384bit |
1000MHz | 6000MHz相当 288GB/s |
250W |
R9 280 Tahiti |
1792 | 112・32 | GDDR5 3GB 384bit |
933MHz | 5000MHz相当 240GB/s |
250W |
R9 285 Tonga |
1792 | 112・32 | GDDR5 2GB 256bit |
975MHz | 5500MHz相当 176GB/s |
190W |
R9 270X Curacao |
1280 | 80・32 | GDDR5 2or4GB 256bit |
1050MHz | 5600MHz相当 179.2GB/s |
180W |
R9 270 Curacao |
1280 | 80・32 | GDDR5 2GB 256bit |
925MHz | 5600MHz相当 179.2GB/s |
150W |
R7 265 Curacao |
1024 | 64・32 | GDDR5 2GB 256bit |
925MHz | 5600MHz相当 179.2GB/s |
150W |
R7 260X Bonaire |
896 | 56・16 | GDDR5 2GB 128bit |
1100MHz | 6500MHz相当 104GB/s |
115W |
AMDの表記は帯域が112GB/sのため、計算すると7000MHz相当になります。
Fury Xの写真です。HBMの効果により、
最上位モデルでありながら、非常に短い製品となっています。
なお、冷却は水冷のため、ケースのサイズなどにご注意。
出力コネクタはHDMIx1・DisplayPortx3、
補助電源は8ピンx2です。
XFXの300シリーズを入手しました。
左列の上から370・380・390、右列が上から270・280X・290Xです。
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出力コネクタですが、今回入手の3製品はいずれも
DVI-D・DVI-I・HDMI・DisplayPortでした。
補助電源は、370(6ピンx1)・380(6ピンx2)・390(8+6ピン)です。
ではチェックを行います。
比較対象として、同じXFXの200シリーズから290X OC、280X OC、270
がありましたのでそちらを確認。
GeForceはPalitの980Ti、980 SJS、970 JS、960 SJS、750 Ti OCを用意しました。
※SJS:Super JetStream、JS:JetStream、OC:オーバークロック版の略
使用PCとチェック内容は以下の通りです。
・使用PC
マザーボード :ASRock Z97 Extreme4
CPU :Core i7 4790K
メモリ :PC3-17000 4GBx2
電源 :XFX XTR P1-650B-BEFX(80PLUS GOLD)
OS :Windows 8.1 64bit
・3Dベンチマーク
3DMark無料版 :Fire Strike
MHFベンチマーク「大討伐」(以下大討伐):1920x1080、フルスクリーン
PSO2体験版Ver2(以下PSO2 v2):簡易設定5、1920x1080、フルスクリーン
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編(以下新生FFXIV)
:最高品質、1920x1080、フルスクリーン
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(以下新生FFXIV蒼天)
:DirectX 11、最高品質、1920x1080、フルスクリーン
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン ベンチマーク(以下DQX) Ver1.10
最高品質、1980x1080、フルスクリーン
・消費電力(ワットチェッカーで計測)
アイドル時 :OS起動後、5分ほど放置した状態の数値
FF負荷時 :新生FFXIV中の最高値
・3D性能
3DMark Fire Strike |
PSO2 v2 | 大討伐 | 新生FFXIV | 新生FFXIV 蒼天 |
DQX | |
---|---|---|---|---|---|---|
Fury X | 13509 | 62630 | 27346 | 16668 | 12456 | 20927 |
R9 390 | 10431 | 80147 | 27449 | 14598 | 9687 | 20772 |
R9 380 | 7726 | 34388 | 16630 | 10645 | 7350 | 20797 |
R7 370 | 5333 | 25602 | 14001 | 8134 | 4859 | 20667 |
R9 290X | 10280 | 74929 | 26879 | 14741 | 9470 | 20871 |
R9 280X | 6714 | 45141 | 21046 | 12647 | 7234 | 20853 |
R9 270 | 5162 | 22995 | 13613 | 7825 | 4786 | 20662 |
GTX980Ti | 13939 | 124094 | 35613 | 19613 | 16030 | 20549 |
GTX980 SJS | 12094 | 115412 | 30481 | 17450 | 13817 | 20429 |
GTX970 JS | 10416 | 85984 | 25842 | 15012 | 11832 | 19986 |
GTX960 SJS | 6948 | 50234 | 16610 | 10437 | 7660 | 19890 |
GTX750 Ti | 4294 | 20221 | 9716 | 6623 | 4586 | 16532 |
・消費電力
アイドル | FF負荷 | |
---|---|---|
Fury X | 54W | 343W |
R9 390 | 47W | 387W |
R9 380 | 45W | 258W |
R7 370 | 45W | 204W |
R9 290X | 46W | 347W |
R9 280X | 45W | 304W |
R9 270 | 45W | 208W |
GTX980 Ti | 46W | 348W |
GTX980 SJS | 42W | 289W |
GTX970 JS | 43W | 275W |
GTX960 SJS | 41W | 204W |
GTX750 Ti | 41W | 156W |
・3D性能グラフ(PSO2は桁違いに長く、他ベンチマークの差が見えにくくなるため除外)
■フルHDでは宝の持ち腐れのFury X
2560x1440以上のモニタを用意すべき
結果はご覧の通りです。 300シリーズは順当というところでしょうか。
380の消費電力が280Xより低いのは、380は280ではなく、
よりワットパフォーマンスが高い285の後継だからです。
シリーズの特徴をまとめると以下のようになります。
390:性能は970と互角以上、ただし消費電力が非常に高い。
高解像度やFreeSyncも見据えた人向け。
380:消費電力は760程度で960よりは高いものの、
性能は960 SJSに4勝2敗と有利。
370:750Tiと960の間を埋める製品。
この2製品は性能差が大きいため、どちらにすればよいか迷っていた人向け。
なお、370は300シリーズで唯一FreeSync非対応なので注意。
そしてFury Xですが、ベンチマークによっては390に負けるなど、
不可解な結果となっています。
これはFury Xが4KなどフルHDを超える解像度を前提とした製品で、
フルHD程度では負荷が低くクロックが上がりにくいためです。
実際に消費電力もさほど高くならず、特に負荷が低いDQXは、
スコアが最高にもかかわらず消費電力は150〜200Wで収まっています。
ですが、このままだとFury Xの実力が見えません。
そこで2560x1440のモニタを用意して、新生FFXIVと蒼天を
RADEONとGeForceの上位2製品で再計測しました。
・3D性能(2560x1440)
新生FFXIV 2560x1440 |
新生FFXIV蒼天 2560x1440 |
|
---|---|---|
Fury X | 12147 | 8762 |
R9 390 | 10003 | 6316 |
GTX980 Ti | 12878 | 9316 |
GTX980 SJS | 11268 | 8604 |
・消費電力
アイドル | FF負荷 2560x1440 |
|
---|---|---|
Fury X | 54W | 372W |
・3D性能グラフ(2560x1440)
FFXIV :フルHDでは980Tiに2945負け、980 SJSに782負け
2560x1440では980Tiに731負け、980 SJSに879勝ち
FFXIV蒼天 :フルHDでは980Tiに3574負け、980 SJSに1361負け
2560x1440では980Tiに554負け、980 SJSに158勝ち
となりました。性能を発揮したため、消費電力も増えています。
元々新生FFXIVベンチマークはGeForce推奨で、
特に蒼天はMaxwellコアに最適化されているかのようなスコアとなります。
そのため、フルHDではGeForce980Tiどころか980 SJSにも劣りました。
ですが、2560x1440の高負荷時では980Tiに迫り、980 SJSには逆転しました。
メモリ帯域が広いFury Xの面目躍如というところでしょうか。
結論として、300シリーズは200シリーズから少しですが性能アップしていますので、
先ほどのまとめから好みの製品をお求めください。
そしてFury Xは、フルHDでは性能が出にくい、水冷、そして価格という点を考えると
上級者向の製品ですが、
このカードサイズでこの性能という魅力は大きいでしょう。
フルHDを超える解像度で3Dゲームを快適にプレイしたい方にとって、
有力な製品となるのではないでしょうか。
■今回紹介した製品
RADEON 300シリーズ&Fury X
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